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聴音 ~ソルフェージュ解説

聴音とは音を聞いて楽譜に書き取ることで、良い音感を身につけるための勉強です。近年、楽曲を聴いて楽譜にすることを「耳コピー」ということがありますが、聴音はまさに「耳コピー」に相当します。「演奏」が楽譜を見て音にするのに対して、「聴音」は音を聴いて楽譜にするということになり、演奏と聴音はちょうど逆の関係になります。耳だけで拍子、音高、音程、音価などを正確に判断できなければ五線紙に書きとることはできません(五線紙に書きとる際には、記譜法の知識が必要になりますが、これは楽典の知識になります)。そのため、聴音の勉強を通じて、実際の音と楽譜との関係を理解できるようになっていきます。

聴音は、広い意味では音を聴いて楽譜にすることをいいますが、音楽学校等の入学試験で課せられるものを「聴音課題」といい、その課題の呈示方法には一定の様式があります。通常、4小節~16小節程度の長さの楽曲が対象で、以下のような順序で演奏する間に楽譜に書き取ります(ただし、実際には音楽学校や教師によって様々な方法があります。)。

  1. 課題の属性として呈示される音部記号、小節数、拍子、調性などの情報をもとに譜割り(音部記号、調号、拍子、小節線などを五線紙に書いて準備すること)を行う
  2. 主音または主和音、カデンツが呈示される(呈示されない場合もある)
  3. カウントが呈示される(呈示されない場合もある)
  4. 課題が全体を通して1回演奏される
  5. 課題の前半が複数回演奏される
  6. 課題の後半が複数回演奏される
  7. 課題が全体を通して1回演奏される
  8. 清書の時間が与えられ、終了

上記のような様式の他、聴きながら書かずに課題を数回聴いた後に五線紙書く「記憶聴音」という様式もあります。記憶聴音では課題の呈示中に一切メモなどを取ることはできません。

聴音の種類には、大きく分けて旋律聴音と和声聴音があります。旋律聴音はピアノで弾いた旋律(メロディー)を聴いて五線紙に書き取ります。1つの旋律を聴き分ける聴音を単旋律聴音、同時に演奏される複数の旋律を聴き分ける聴音を複旋律聴音といいます。複旋律聴音は、旋律の数によって二声聴音、三声聴音などがあります。
和声聴音は、ピアノで弾いた和音(同時に発音される複数の音。例えばドミソ、シレソ等)の連結である和声(ハーモニー)を聴いて、五線紙に書き取ります。和声聴音は、音の低い順にバス、テノール、アルト、ソプラノの声部(パート)で構成される「四声体(しせいたい)」の聴取が中心になります。四声体には、バスを除く上三声が1オクターヴより狭い/広いによって密集配置、開離配置があり、それぞれ「四声密集」、「四声開離」といいます。また、声部の数により「三声」、「五声」などの和声聴音もありますが、「三声」については、和声聴音では「三和音」と呼ぶのが一般的です。
その他、旋律聴音と和声聴音に分類されない「リズム聴音」があります。音高は同一でリズムだけが変化するもので、五線紙またはリズム譜に書き取ります。声部の数によって「一声」、「二声」、「三声」などがあります。拍子やリズムのみに集中して聴き分ける訓練に適しています。

聴音課題は、音楽学校の入学試験等で必須科目になりますが、聴音の経験が全くない方でも、初歩から訓練を重ねることによって徐々に音の高低や和音のパターンを正しく聴き分けられるようになってきます。旋律聴音と和声聴音の両方を学習することで、音楽全体を聴き分け、音の構造を理解する力が身に付いていきます。こうした力は、演奏する上でも音を聴く集中力や音、拍子、リズム等をしっかりイメージすることにもつながり、表現力の上で大きな効果をもたらします。

聴音の力を身につけるためには継続した訓練が必要です。